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今年もたくさんのご来場ありがとうございました。
一昨年あたりから、作品の味を変えたくて奮闘してましたが、思うようにいかず、苦戦していました。 今回は2016年がやけに忙しく、例年に比べ、テーマが決まるのもギリギリ、書く時間も1/3という切ない状況でしたが、それがかえってよかったのかもしれません。 出張の新幹線の中、頭の中で「あーでもない、こーでもない」とエア書き。 いざ紙に向かった貴重な時の、一回一回の覚悟も違ったのかもしれません。 観に来て下さった皆さんからも、「お、変わったね」というお言葉をたくさんいただきました。 嬉しいです。 では、今年の作品です。 創作『燕雀安くんぞ鴻鵠の志を知らんや』(180×90cm 4枚組) 「スズメやツバメといった小さな鳥には、コウノトリやオオトリのような大きな鳥の高い志はわかるまい。」 始皇帝が建てた秦の瓦解の端緒となった”陳勝呉広の乱”。その首謀者のひとり陳勝が、 しがない雇われ農夫だった頃の言葉である。 しかし、体躯が小さいだけで小者に例えられたツバメやスズメとしては堪らなかろう。 それぞれの鳥が、それぞれの思いとスタイルで飛べばよい。 後に立ち上がり乱を起こす際に彼はこうも言った。 「王や将軍になるのに生まれや血統もない!」(― 王侯将相、寧有種也) 彼もまた大きく羽ばたいた”燕雀”なのである。 <文字解説> 燕: ツバメの飛ぶ形 雀: 小と隹の会意字。隹はとりの象形。 雚:(注、灌のつくりの部分) 大きな目の鳥の形。こうのとり。 鳳: 頭に冠飾を戴き豊かな羽をそなえた鳥形の神の形。おおとり。 (鴻=ハクチョウ(黄鵠)・オオトリ・ヒシクイ(雁の中で最大の種))
(鵠=コウノトリ・クグイ(ガンカモ科の鳥/白鳥の古名)) 燕 雚 雀 小品 『Autophagy(自食)』 (R25cm) 母校、東工大の大隅教授2016ノーベル賞の栄誉を慶び。 「自」と「食」の字が、たまたまこの形状。 テーマとあいまって細胞に見えてきたので、こんなデザインで。 「自」が分解酵素を含んだ小器官が接近してくるところ 「食」がまさに分解中のオートファゴソーム ってトコかな? 大作の「燕」と、この作品の英文賛中にある東工大の校章の「燕」が 秘かにかけてあったりします(笑) (私のお客さんではないですが、母校のOBの方が一人だけその仕掛けに気が付かれたそうです) さらに額装はあえてのマットの二重丸カット! これは、オートファジー現象を観察で確かめたという業績を受けて、顕微鏡視野をイメージしてます。 これは誰にもせんでした、 <文字解説> 自:鼻孔の部分を表した鼻のかたち 食:皀(盛食の器)をおおうかたち 臨書 『作冊大方鼎』 (140cm×140cm) #
by micasa2
| 2017-05-03 20:27
| 亀甲会(古代文字)
上野展も終わって一息。
何か新しい臨書がしたくてうずうずしてるので、先週あたりからテーマ探し開始。 「墨」のバックナンバー 通巻156号(2002年)の特集に、 「論考 漢字の源流-刻符と陶文」ってのを改めて読んでたら、見つけましたよ。 これ。 「周原出土陶文」 記事のテーマは刻画符号(刻符)と陶文。 殷周以前の新石器時代(紀元前5000年ころ)に土器に模様が刻されてる。 甲骨文をさらに遡る漢字の起源かも?と研究されてるんだけど、まだ未知の部分は多い。 それでも時代が下がってくると明らかに文字だし読める陶文が出現します。 ※未確立の分野なので、文字として読めないのを刻画符号(刻符)、読めるのを陶文という言い方をしている節もある。 で、これは西周期まで時代が下がって「周原出土陶文」っていうのの一部なんだけど、焼く前の粘土に書いたもの。 さすがにこの時代まで来ると、文字かどうかの議論の余地はない。読めるし。 「器□■書成爲王」 □:鬯の下が匕でなく又 ■:言と文 眺めていて金文との大きな違いを発見。後から刻んだ画で交差してる前の画の溝が粘土で埋まってるのでわかる。なので金文と違って書き手の書き順がわかる!のではないかコレは? 柔らかい粘土に、おそらく竹のヘラか何かで書いているので、素材的には金文の肥えた線の味わいだが、クラフト的には甲骨に近い線質とスピードも感じられる。そもそもが持ってる野趣味とあいまった、不思議な魅力に取り憑かれます。 で書いてみる。 金文のスピードで書くべきか、甲骨のスピード感なのか? 答えはなく難しいところだが、それを探り探り書くのも楽しい。 まずはいつものように大きめに書いて文字の形と味わいを読み解いてみる。 数日間取り組んでみて、これまでの金文とも違う感じが出せたかな?と思えた、 「器」:(口)サイの書き方がちょっと独特 「爲」: 「王」:なんで横向きなのかな・・・ これを粘土に刻みつけた人の、息吹を少し感じれて来たかな。 暫く研究できそうだ。 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 加藤光峰主宰 「龜甲會」とは 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 #
by micasa2
| 2016-03-28 01:13
| 亀甲会(古代文字)
今年もたくさんのご来場ありがとうございました。
今年は愛Bリーガーにはおなじみのトリポンの美華ちゃんの入門デビュー、 加えて昨年に続き、全国会議が同日開催ということもあり、 日本全国からお越しいただき、芳名帳を見た会員が、 なんでこんなに全国から?と驚いてました。 さて、今年の図録です。 創作 『クニのかたち』 (180×360cm) 四つの“クニ”のかたち。 「土」は、地霊(神)のおわす場所。 「邑」は、人が住まう場所。 「邦」は、(政治的に)治める場所。 「国」は、武力で衛(まも)る場所。 様々な“クニ”の在り様。 さてどれが、ヒトを幸せにするカタチであろうか? <文字解説> 【土】 土主(土地の霊)の形。土をまるくかためて立てた形で、これを地霊の本体として祀る儀礼を表わす。 【邑】 卩は人のひざまづく形、囗は区域。人の住むところを邑という。 【邦】 封建の地の形。封土(もりつち)の上に若木を樹(た)てる形で、封建(天子が土地を分けて諸侯を立てる)の儀礼を示す字 【国】 囗と或の会意字。或は戈(ほこ)で居住地の囗を衛(まも)る意。それにさらに周囲の城壁を加えたものが國、現代国語では国。 小品 『遊』 (42×54cm) 「方人」(旗のたなびく形)と子の会意字。 旗は氏族神を奉じる標識。一族の旗印と考えればわかりやすい。 「遊」は古くは「斿」と書き、「斿」と「旅」は同じ意で、氏族の旗を掲げ遠行することをいい、 当時は、出征などを意味し、行楽的な意味はなかった。 自分の心を遊ばせるにも覚悟がいる。 でも存分に楽しむことも忘れないように。 この春、旅立つ人に。 臨書 『里耶秦簡』 (90×180cm) 2002年に湖南省竜山県里耶鎮で発掘された木簡。 戦国時代の古城(あるいはお役所)の井戸から約三万六千枚の秦代竹簡が出土、 内容は地方行政文書らしく、発令の日時、司空の名、地名などが散見される。 (BC222~208年) このシリーズは入れ込んで、この一年間かなり重点的に取り組んできた。 臨書すればするほど、面白く、見た目は隷書(秦隷)であるが、その前身である秦の公文書用の文字の小篆の味わいも残る。 文字が怪しく書記官はごまかしたのでは?という部分も書いていると感じられ、 始皇帝が文字を統一して間もない当時、さらに地方都市だけに、まだ不慣れで篆書・金文の形状を残しているのでは?と思える文字も混ざっており、書記官のとまどいや息吹を感じると言ったら大げさだろうか? ともかく楽しい題材であった。 木簡は行政文書なので、スピードに乗って書くというそもそも持っている特性と、過渡期の書体のハイブリッド感・・・どこまで出せているだろうか? 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 加藤光峰主宰 「龜甲會」とは 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 #
by micasa2
| 2016-03-09 22:55
| 亀甲会(古代文字)
先日のNスぺ。
「アジア巨大遺跡 第3週 始皇帝陵」を観てたら、 牘が出てきた。 (木簡の幅の広いやつ 正確には写真のは牘よりもでかい木札だが広義の木簡ということで) あ!これうちにも法帖(資料)があるヤツだとTVの前で盛り上がる。 湖南省里耶の地方役所跡の井戸から3万6千枚も出てきたという。 秦の行政文書だ。 再現で秦のお役人が書いてるの見てたら、どうしても書きたくなって、 ごそごそと法帖をひっぱり出してきて、書いてみる。 役所仕事なんだから、さっさと書かないと仕事にならないのは想像していた通り。 あくまで再現ドラマではあるが実際に書いてるシーンを見て再認識。 やはりスピード感のある運筆が、この味を出すんだと意識して、書いてる。 以前書いた時より、”味わい”が近くなった気がするのは、気のせいだろうか? 加藤先生に見ていただいたら、 「お、少しは(あじわいが)見えてくるようになったな」のお言葉。 でも調子にのって、また木簡にちまちま書くと怒られるから、やめときます。 実際、実寸にチャレンジすると、小さく書くことに意識のほとんどが持ってかれて、 細かい筆運びなどが、ないがしろになるのは経験済みですから。 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 加藤光峰主宰 「龜甲會」とは 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 #
by micasa2
| 2015-11-15 13:11
| 亀甲会(古代文字)
加藤光峰 語録
下紙を整理してたら、 感銘を受けた時にメモった紙切れ発見。 端っこに2013/7/10とある。 2年以上前か、忘れぬように、記録しておこう。 グッと来て、キッとなればいいのだが、 どうしても怖いもんだから、シュ~スルスルとなると線が生きてこない。 君の場合は力があるので、 バリバリって書くのだが、微妙な力の調整がまだできてないから、 できた線は、バリバリのようではあるが、 ボソボソとか、ポソポソだか知らんが、 弱いんだ。 どうしても心配して書くと、墨のノリが悪い。 そうすると線もおっかなびっくりで不安な線になる。 上手い人はズルいんだ。 もっとバンバンって行くんだよ。 思い出した。 一個めの教えが完全に理解できないまま、バリバリじゃないやり方を模索してたら、 おっかなびっくりになっていて、それを見かねた先生に言われたんだ。 それにしても、擬音の嵐。 「ミスター長嶋」みたいです。 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 加藤光峰主宰 「龜甲會」とは 〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓 #
by micasa2
| 2015-10-26 23:40
| 亀甲会(古代文字)
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