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娘(小2)が、学校から持って帰ってきたプリント。
『かん字パズル』 窓のところにカタカナを入れて漢字をつくりましょう。 って問題。 おや?なんか違和感が。 ![]() 小学校低学年に漢字を楽しく教えるって目的はわかるのだが、 これはどうだろうか? 途中ちょっと小難しけど、お付き合いください。 カタカナは、ご存じのように漢字の部首やつくりから採ってきている。 (具体的にどの漢字からというのは諸説あろうが) その元の漢字の部品として、カタカナをあてはめるなら納得もいくのだが、 漢字の一部の形がカタカナに似てるからという理由だけで、 あてはめさせては、漢字がただの記号となってしまわないだろうか? この観点で言うと、左から 男〇 気× 貝× 休〇 空△ といことになろうか。 カタカナの<カ>は「加」の左側からきており、 「加」も「男」も、「カ」は農具のすきの形から来ている。 同様にカタカナの<イ>は「伊」のにんべんから来ているので、 いずれも、元の字は違うが、持ってる意味は同じということで、 大目にみて〇。 カタカナの<エ>は「江」の右側から来ており、 「江」の「工」は呪具。 「空」の下部の「工」も呪具の形であり、いずれも声符(=ある音のことばを、 すで通用しているより類似した音のプリミティブな文字を組み合わせて文字を作る) という意味で、同様に〇としたいところだが、 ただし、この「工」にはもうひとつ、同じ字形だが、工具としての別の字もあることを 鑑みれば、同系統の「工」だったのはたまたまだったと解釈して△。 問題は×の「気」と「貝」。 カタカナの<メ>は「女」から来ているのに対し、 「気」は元もと「氣」とも書くように、(詳しい説明は長くなるので避けるが) 「米」に由来があり、「女」とは全く関係がない。 カタカナの<ハ>は漢数字の「八」からきているのに対し、 「貝」の下部の髭状のものは子安貝の形象の一部分であり全く異なる。 ※以上は、白川文字学による解釈。 例えば藤堂明保によれば、「加」「男」いずれも「力(ちから)」であり、 これは手の筋肉をすじばらせて頑張る様の象形文字とあり、諸説あるのだが、 そもそもの字源の解釈の相違はあれども、多少の説の相違は、 ここで主張したい本旨に影響するものではないので割愛する。 前説が長くなったが、結論。 問題製作者は、おそらくは、子供に楽しませながら 漢字に親しんで、覚えてもらおうという意図で作ったのであろうが、 無垢な子供たちに、こういう教え方をしていては、 のちにしっかりと漢字のなりたちを教えるなら別だが、 じきに漢字はただの記号と化してしまうに違いない。 このことは、白川先生が、 当用漢字の略化に警鐘を鳴らしていたことと同じ危機感である。 漢字という、人が文字を獲得した古代の頃からの系譜を残している 世界史的にも稀有な文字を使っている日本人として、 この部分は大事にしたいなと思う次第なのである。
by micasa2
| 2010-12-22 12:47
| 亀甲会(古代文字)
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